翻訳者が『ポレポレ英文読解プロセス50』を読んでみた
少し大きい書店に行くと、英語・英会話の本だけで棚がいくつもあります。英語本を出して「あたる」とすごそうだと思いながらタイトルを眺めていたところ、『ポレポレ英文読解プロセス50』という薄い本が目につきました。近くに「ポレポレ○○」という名前の場所があるので、なんとなく気になって手に取りました。
タイトルにある通り英文読解の参考書です。非常に薄いので初級者向けかと思いきや、意外と難しい問題も入っています。問題文→解説→訳例→この英文に対して実際の試験で出された設問の順に記載されています。品詞分解やプロセスをメモしながら自力で訳文を作ったあと、じっくり解説を読んで理解します。
解説がとても丁寧なことに加えて、訳例欄のコメントも要チェックです。
たとえば、
素直に訳したものは「合格ライン」でしかない。100点の訳文を作るためには、
- 無生物主語を副詞的に訳す
- 主語を変えたら動詞の訳語も必要に応じて変える
- 訳を 2 つの文に分ける ...
...などなど、翻訳者を目指す人にも役立ちそうな訳出のテクニックがちょこちょこ書いてあります。
出題者の要求が厳しいのか、学生の能力が向上して差別化が必要なのか、最近の受験生はここまでやるんですね。
学生だったときにあまり参考書を使わなかった人や、社会人で「やり直し英語」を考えている/手を付けている人は、中・高の文法をおさらいしたあと、このような受験生向けの参考書にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。特に名詞構文や倒置が苦手だった人、それって何?という人は、取り組みがいがあると思います。(ただし、この本は基本ができてから手を付けないと返り討ちにあいますのでご注意を。)翻訳の勉強を始める人には、文章を頭から読んで構造を理解しながら訳し下す練習に使えますよ。
読書の秋です。 今年は英語の参考書をじっくり読んでみませんか?
『ポレポレ英文読解プロセス50』西きょうじ著
ちなみに「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくり」という意味だそうです。