読点の打ち方

読点の打ち方

先日都内某所を訪れたところ、桃の花がもう満開になっていました。花のまわりではメジロが2羽、いそがしそうに飛び回っては蜜を吸っていて、ながめているうちになんだか雅な気分になりました。桃色とうぐいす色のコントラスト。春ですねえ。

DTPチェックをする際に簡単な校正をすることがあるので、『日本語とテンの打ち方』という本を読んでみました。この本を読んでから読点を打つのが少し楽になったので、この場でご紹介させていただきます。

筆者の岡崎さんは、おなじみ『日本語の作文技術』を書いた本多勝一さんを研究している方なので、こちらを読んでいると内容をさらに理解しやすいかと思います。

さて、この本では、読点の機能を次の5つに分けて説明し、それぞれの解説を実例とともに説明しています。

  1. 伝達事項の分かち書き(母はいい、黙々と後始末をした / 読点の前後で内容が変わる)
  2. 前後の語句の強調(髪の長い、少女)
  3. 言葉のかかり受けを明確にする(彼女は目を輝かせて話し続ける彼を見つめていた)
  4. 時間の経過を盛り込む(ぼけ始め、寝たきりになった / 読点を「そして」で代替可能)
  5. リズムをとる(~が~が、の並列など)


私が一番活用しているのは、「言葉のかかり受けを明確にする」にあった次の文です。

文の成分として「いつ」にあたるものは、文全体にかかるという意味でテンを打ってもいい

この例として次の文があります。

子供の頃、夕方、みんなが帰ったあとの広場で味わった、あの無念さや、淋しさ、不安などを味わいたくないと思っているだけのことだ。

この例において、「子供の頃」と「夕方」は、「味わった」またはそこまでの全体にかかるため、読点が必要である、と解説しています。言葉がかかる範囲に応じて読点を使うのは、主語や形容詞では意識していましたが、「いつ」の語句については気にしたことがなかったので新鮮でした。また、これを読んでから自分でも打つようになりました。確かに少しわかりやすくなった気がします。

ここまでの内容だけでも十分専門的ですが、この本には解説編だけでなく実践編(?)も用意されています。

天声人語のテンを一度すべて削除し、作者が入れ直して内容を比較する、小学校で習う『おおきなかぶ』のテンを出版社ごとに比較する、日本国憲法のテンを分析する、などなど、マニアックで面白い研究がたくさん含まれています。

昔の本ですが、今でも使えるテクニックがたくさんあるので、興味がある方はぜひ見つけて読んでみてください。

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