有名人の生活習慣を眺める
昨年あちこちで話題になっていた『Daily Rituals: How Great Minds Make Time, Find Inspiration, and Get to Work』を読みました。サブタイトルのとおり、有名な人がどのようなスケジュールで生活していたかについての本です。作家、画家、作曲家、学者などが紹介されています。
全体を通した感想は、17世紀から21世紀にかけて人間社会が徐々にゆとりのないものになっている、朝型の人が多い、集中している時間は2、3時間という人が多い、コーヒー、タバコ、覚醒剤、睡眠薬などを濫用している人が多い、年をとるごとに睡眠障害を起こす人が増える、変なライフスタイルの人が短命とはかぎらないし規則正しいライフスタイルの人が長命というわけでもない、読書の時間と手紙の読み書きの時間が長い......といったところでした。
今はメールというと半ば忌み嫌われるものになりつつありますが、昔はそうでもなかったようです。親類から届いた手紙を家族の前で読み上げる、などという記述もあったので、コミュニケーションのあり方が今とは随分と異なっていたようです。
ひとつ気をつけないといけないのは、この本で紹介されているのはわりとうまくいった人が多いですが、うまくいかなかった人も同じように生活していたかもしれませんので、どの程度参考になるかはわからないということです。
変人奇人もそれなりに紹介されていますが、一番ひどいと思ったのはポール・エルデシュでした。エルデシュについては『放浪の天才数学者エルデシュ』という本に詳しく紹介されているのを読んだことがあったので、さすがにあれ以上の人はいなかったか、と安心しました。
ひとりひとりについてはそれほど長く書かれているわけではなく、また内容の性質上同じような記述の繰り返しになっていますので、わりと読みやすい本だと思います。興味のある人についてだけでも読んでみてはいかがでしょうか。