日本語のコロケーション

日本語のコロケーション

家の前に駐車場ができたかと思ったら、あっという間に埋まってしまいました。あの車たちはどこから来たのでしょうか。

よく使われる言葉の組み合わせを collocation (コロケーション)と呼びます。
コロケーションは IT 用語として使われることもありますが、今回は言葉の話です。

共起、という日本語が、コロケーションに近い意味を持っているようですが、あまり見かけない言葉ですし、厳密には同じとはいえないところがあるようです。
といったことからわかるように、コロケーションというのは、多くの人にとって、なじみが薄い概念ではないでしょうか。

しかし、日本人が日本語を使っていても、コロケーションを気にしなければならない場面は多々あります。たとえば、つい先ほど「なじみが薄い」と書きましたが、この表現は、はたして適切なものなのでしょうか。

このような場合、国語辞典で「なじみ」や「薄い」を調べる、インターネットや日本語コーパスで「なじみが薄い」と検索する、などの方法がありますが、いずれもコロケーションを専門に調べるための道具ではありません。

そのようなことを調べるときに便利な、専用の辞典がありました。『てにをは辞典』は、コロケーションを調べることを目的にした辞典です。「なじみ」を引くと、「なじみが薄い、なじみが深い、あまりなじみがない、なじみを重ねる......」のように、「なじみ」と結びつく言葉が挙げられています。
文芸作品から用例を収集して編集したそうですが、技術文書で使われる言葉もけっこう載っているようです。

「稼働率」の項目では、用例として、「稼働率が下がる」「稼働率を上げる」が載っていました。これを見ると、好きこのんで稼働率を下げることはない、稼働率が上がったら自分たちの手柄にしたい、という人間本位の心情がうかがえて、おもしろいですね。

何気なく使っている母国語でも、正しい表現ばかりとはかぎりません。あまりおかしな組み合わせを野に放つことがないよう、気をつけたいものです。

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