motion sickness
VR元年だそうです。今年一気に普及するかというとそうでもなさそうで、端末自体の生産量がまだそれほどでもなさそうなのと、値段やコンテンツに加えて、VR酔いという問題もあるそうです。
MIT Technology Reviewで、VR酔いを軽減するちょっとした工夫が紹介されていました。
その記事の冒頭に、
"Motion sickness is a big potential obstacle for VR"
とあったので、英語ではVR酔いはmotion sicknessというのかな、と思って調べていったらややこしい問題があった、というのが今回の話題です。
MIT Technology ReviewからリンクされているE&Tの記事では、VR sicknessやVR motion sicknessと書かれています。このように、表記はゆれてしまうけれども間に形容詞をはさむというやり方はなんだかかっこいいですね。
なんだVR sicknessでいいのか、と思って、ではmotion sicknessとは何なのか、と調べてみたところ、日本語でいう乗り物酔いにあたるとのことでした。さて、乗り物酔いとVR酔いは同じものかと言われると、そうではなさそうですね。どういうことなのでしょうか。
いつものようにWikipediaさんに助けてもらうと、乗り物酔いは、
"各種の乗り物が発する揺れなどの加速度によって、体の内耳にある三半規管が刺激されることで起こる身体の諸症状である。"
とあります。これはVRではないですね。しかし、同じ記事の中に、
"身体が振動しなくても、視覚的な振動の刺激(振動するビデオカメラで撮影した動画を見るなど)だけでも「酔う」ことがある(映像酔い)。特に上下動や上空の視界の悪さによる効果が大きい。視覚と三半規管の感覚とが不一致を起こすためといわれる。"
ともあり、これはVRにも当てはまりそうです。
motion(動き)といっておけば、加速度のせいでも、視界との認識のずれのせいでも違和感なく使えるのに対して、「乗り物」といってしまうと、映像酔いやVR酔いまでひっくるめようとするとなんだかおかしな感じになるようです。元々は乗り物酔いの方がわかりやすくていい名前だったはずなのに、時の流れというのは残酷なものです。
というわけで、motion sicknessは乗り物酔いであるといってしまって問題のない時期が長らく続いてきたものの、各種映像技術の発達に応じてmotion sicknessがその守備範囲をじりじり広げつつあるのに対し、乗り物酔いはその名称ゆえにそうもいかない、ということでした。かといって、今更乗り物酔いを別の言葉で説明するのも違和感がありますので、おそらく、日本では乗り物酔いと映像酔いなどを別のものとして扱うというやや厳密な区分の仕方をしていくことになるのではないでしょうか。
それで、VR酔いを軽減するちょっとした工夫っていうのはなんなんだよ、と、我慢してここまで読んでいる方がいらっしゃると申し訳ないので、ちょっと紹介しておきますと、VRの側で激しく移動するときに、視界をこっそり狭くしておくと、認識のずれが抑えられて酔いづらくなるそうです。何が違うのか本人が気が付かない程度でいいようなので、脳みそが勝手にあれこれやっているということなんですね。長時間VRすると疲れるのでしょうか。とりあえず今は長時間ブログを書いて疲れました。