見つめる鍋は煮えないから。

見つめる鍋は煮えないから。

横浜は今日が入学式という学校が多いみたいです。今年は桜が間に合って、いい写真が撮れたのではないでしょうか。

前の記事(「翻訳の品質が向上するかもしれない冴えない方法」)によると tanaka はフォントを大きくして訳文の読み直しをしているそうですが、私はフォントを変えて読み直しをすることがあります。たとえば、バイリンガルファイルの表示をゴシックにしているので、Wordに貼って明朝にします。見た目が変わると確かに気が付かなかったところに目が行くことがあります。フォントを大きくする...のは好みもあるかと思いますが、試してみる価値はあります。

 

「見つめる鍋は煮えない」(A watched pot never boils.)は、外山 滋比古さんの『思考の整理学』でも紹介されていることわざです。実は数年前にこの本を読んで初めて知りました。鍋を前にして早くお湯が沸かないかなと思いながら待っているとなかなか沸かないけれど、一旦忘れて別のことをしていればいつの間にか沸いている、という「あるある」です。ほかのことをしている時間は数分かもしれないし、場合によってはすごく長い期間になることもあります。その場合は「寝かす」とか「発酵」させるという表現もされています。

 

翻訳・レビューでも、原文と訳文を見つめてああでもないこうでもないとなってしまったら、少し間をあけると今まで気が付かなかったところに何かを発見したり、もっといい表現を思いついたりします。席を立って飲み物を買ってきたり、昼休みを挟んだり、一晩おいて翌日見直したときに、些細なことでもそのまま終わりにしなくて良かったと思ったことは何回もあります。

煮詰まったーと思ったら、煮詰まったんじゃない、まだ煮えてないんだ、ということにして、ちょっと休憩を入れましょう。私はお湯が沸くまで待つというより、一晩寝かすほうが合っています。一晩寝かすためには、もちろん予定より早めに終わらせないといけませんが。

 

見つめる鍋は煮えない。寝かす。発酵させる。ぜひお試しください。
ただし実生活で鍋を火にかけたまま忘れちゃいけませんよ。

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