10x

10x

IT業界で特に優秀な人のことを10x ナントカと呼ぶことがあります。engineerとかdeveloperとかprogrammerとか、コードを書く職業が入ることが多いようです。普通の人の10倍の生産性があるとか10人前役に立つとかそういった意味合いです。本当に10倍なのか、もっと高いんじゃないか、低いんじゃないか、1人に依存すると危ないんじゃないか、などということでときどき話題になるようです。これ自体はしばらく前からときどき見かける表現です。

先日とあるポッドキャストを聞いていたところ、10x(テンエックス)の部分だけが取り出されて、動詞として使われていました。それも、「10倍にする」という、字面からすぐ想像がつく意味ではなく、「10倍うまくやる」という意味だったようです。そんな使い方があるんだなあと思って調べてみたところ、形容詞としては、やはり数量として10倍にできるものにくっつくことが多いものの、10倍すごい、10倍の価値がある、10倍の生産性がある、というような意味で、数量と直接結び付かないものにくっつくことが増えつつあるようでした。動詞として使われることはあまりないように見えました。ただ、検索するのが難しいこともあり、実際のところはよくわかりません。

ポジティブな意味を添える単語、ネガティブな意味を添える単語というのがあって、強弱の問題があるとはいえ、翻訳するときはいちいち真面目に直訳しなくてもよろしい、という説があります。それに当てはめて考えると、この10xは「超すごい」とか「非常にすばらしい」とか「極めて優秀な」とかいう感じのようです。元々は根拠があって10だったはずなのに、数字は飾りになってしまって、しかもどう10倍くらいすごいのかは読み手が補って考えないといけないということで、だいぶ乱暴な表現ですね。ノリがいいので重宝されるのでしょう。

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