「私以外私じゃないの」: 二重否定を分かりやすく
某グループがガールズバンドじゃないことに最近気が付いたfukazawaです。
この「私以外私じゃないの」は、二重否定の表現です。
一瞬どういうことか考えてしまいそうですが、歌にも出てくるように、自分以外の人間は自分ではないから、なんのことはない「あたりまえ」のことを指しています。
"二重否定の表現を使うとわかりにくい文章になり、読み手の混乱を招きます。否定の表現は、1文中に1つにするのがポイントです。"
― テクニカルコミュニケーション研究会編
「わかりやすいマニュアルを作る 文章・用字用語ハンドブック」 より
小説や歌詞とは異なり、テクニカルライティングでは否定の表現は1文中に1つが好ましいとされています。「否定の否定は肯定」なので、シンプルな肯定文にしても曖昧さがなくなってわかりやすくなります。
ということで、二重否定「私以外私じゃないの」を別の表現に変えてみます。
二重否定→「私以外私じゃないの」
否定の表現を1つにする→「あなた(たち)は私じゃないの」
肯定文にする→「私という存在は私だけ」「私は私、あなたはあなた」
いろんな表現ができそうです。
「不要なバックアップファイル以外は削除しないでください。」よりも、「必要なバックアップファイルは削除しないでください。」や、「不要なバックアップファイルのみを削除してください。」のほうが分かりやすいですよね。
ライティングでは上記のとおりですが、話し言葉では少し事情が変わります。たとえば、いまいち口に合わない食べ物を出されて、感想を求められた場合。
二重否定→「食べられなくはないよ」
このように言われたら・・・正直、嬉しくないです。これを前述の法則に従って別な表現にすると、
否定の表現を1つにする→「おいしくないですね」「まずくないよ」
肯定文にする→「まずいね」
ちょっとアレな感じになってしまいます。
会話では、否定の表現を1つにしたり肯定文にしたりすると、場合によって人間関係に差し障りが出てしまうことがあります。ストレートな言葉は胸にしまって、「大人味ですね」や「面白い味だね」のような別の表現を使って回避しましょう。