言語のギャップ

言語のギャップ

先週、ぎっくり腰になりました。
ブロック注射というものをしたらかなり動けるようになりましたが、再発しないように運動しなきゃ。

ぎっくり腰になってみると、「ぎっくり腰」という表現はなかなかぴったりなことがわかります。
ぎっくり腰になる瞬間の音だけを考えると、「パッキリ腰」とか「ぽっきり腰」でもしっくりくるのですが、
「ぎっくり腰」には、音がした後の気持ちもうまく反映されていると思います。

ちなみに英語では、ぎっくり腰を次のように表現するようです。

1. I slipped my disk.(椎間板ヘルニアになった)
2. My back went out.(腰が動かない!)
3. I've strained my back.(腰を痛めた)

腰も背中もbackなんですね。

ぎっくり腰 = 椎間板ヘルニアというわけではないので、1. の表現はイマイチです。
背中も腰もbackであらわすと、背中の筋肉痛なんかも 2. や 3. で表現されてしまいそうです。
2. や 3. では、せめて back を lower back と置き換えないと、誤解されそうです。

こんなふうに、ある言語から別の言語に訳そうとした場合に、必ず言葉間のギャップに悩みます。
上の例でいえば、腰とbackは完全に同じものを指すわけではなく、腰はbackに含まれています。

どう言えば正確に伝わるのか考え、言葉をひねることは、翻訳者にとっては楽しいものですが、言語と文化のギャップから常に完全に伝えることは難しく、 どこかで妥協しなければならないことも多くあります。

なにはともあれ、普段座ったままのお仕事が多い翻訳者のみなさま、腰痛にはお気を付けください。

この記事を読んだ人にオススメ