ソフトウェアローカリゼーションのユーザーインタフェース翻訳について (1)
■ ソフトウェアローカリゼーションとは
ソフトウェアローカリゼーションとは、ソフトウェアを導入対象の地域 (国) に適合させるプロセスのことです。これには、ユーザーインタフェース (メニュー名、コマンド名、メッセージなど) やドキュメントの翻訳、導入対象の地域の言語、文化、単位、通貨などに合わせたソフトウェアの修正の作業が含まれます。
■ ユーザーインタフェース翻訳とは
ソフトウェアローカリゼーションのプロセスの 1 つです。
翻訳対象は、メニュー名、コマンド名、ラベル名、メッセージなどです。製品の「操作性」や「イメージ」につながる大変重要なプロセスです。
■ ユーザーインタフェース翻訳に必要な知識
ユーザーインタフェース翻訳では、IT 翻訳の基本だけでなくユーザーインタフェース翻訳の特徴を理解している必要があります。また、ソフトウェアのバージョンアップが考えられる場合は、「翻訳の品質」だけでなく、翻訳メモリツールによる「経済性」や「効率性」を考慮に入れることも不可欠です。
1) 翻訳メモリツール
品質の高い、経済的 (翻訳文の流用) かつ効率的な翻訳作業を行うために、翻訳メモリツール (Alchemy CATALYST、SDL Passolo など) の使用は不可欠です。
2) 翻訳文の流用性、メンテナンス性
将来のバージョンアップのために、翻訳文の流用を考慮して翻訳を行います。
3) ユーザーインタフェース翻訳の特徴
変数、単位の変換、訳文の長さなどを意識して翻訳を行います。また、出現場所および出現状況を確認または想定しながら適切な翻訳を行います。
4) そのほかのドキュメントへの影響
訳を変更する場合は、そのユーザーインタフェースが使用されている関連ドキュメントもすべて修正します。
5) 用語の統一
全体で用語を統一します。
6) スタイルガイドの遵守
スタイルガイド (記述ルール) に従って翻訳を行います。
上記のようなことを理解せずにユーザーインタフェース翻訳を行うと、次のような問題が発生する危険性があります。
- 画面ごとに使用されている用語が違う!
- バージョンアップ時に旧バージョンの TM を使用しようとしたが、誤訳や品質の低い訳文が多く含まれているため、TM を使用できずすべて新規に翻訳し直さなければならない!
- 変更してはいけない変数が間違って変更されてしまったため、画面に正しく文字が表示されない!
- タグが変更されてしまい、ソフトウェアが動かなくなった!
- 直感的な UI でないため、スムーズに操作できない!
- メッセージの意味が理解できない!
ユーザーインタフェース翻訳は、経験が必要な、慎重に行う必要がある作業です。これからユーザーインタフェースの翻訳をはじめようと考えているのであれば、まず、前述の「翻訳に必要な知識」を理解しておくことをお勧めします。
シーブレインでは、クライアント様のご希望に合わせ、さまざまな翻訳ソリューションをご提供しています。ユーザーインタフェース翻訳について、ご質問・ご相談がございましたら、お問い合わせください。
次回の私のコラムでは、ユーザーインタフェースの翻訳について、具体的にご説明したいと思います。