多言語化のススメ---その2:中国語と韓国語
今回の私のコラムは、多言語翻訳の中でも非常に身近な中国語と韓国語についてです。
中国の文字には繁体字と簡体字があります。
繁体字と簡体字の関係は、日本の漢字でいう明治以来の旧字体と現代の新字体の関係に似ています。簡体字は画数が少なく省略された漢字であり、中国本土やシンガポールなどで採用されています。繁体字は画数の多い複雑な漢字であり、台湾、香港、マカオなどで採用されています。
台湾の人が中国本土の簡体字で書かれた文章を読むと 8 割程度分かるそうです。逆に中国本土の人が台湾の繁体字で書かれた文章を読んでも、同様に 8 割程度分かると言われています。
特に最近では、台湾の一部の学校で簡体字の学習が必修になっています。
文字は2種類ですが、これとは別に方言もあります。
7 大方言や 10 大方言とも言いますが、それは大きく分けての話。実際、中国には 50以上の民族が存在しており、それぞれ別の方言で話しています。
よく聞く広東語も、中国南部や香港、マカオなどで話されている方言の一種になり、北京語や上海語などもそれぞれ方言になります。
では、繁体字と簡体字のフォントはどのように表示されるか見てみましょう。
(簡体字:SimSun)
(繁体字:MingLiU)
日本の「漢字」とはちょっと違いますね。まったく違う文字もありますが、このようにちょっとだけ違う文字も多いです。当社の Web チームのブログ(「バシャログ。」)でも、簡体字の微妙な違いについて紹介しているので、ぜひご覧ください。
次に、韓国語について説明します。韓国語は韓国で使われている言葉ですが、北朝鮮で使われている朝鮮語も同じハングルを使用しています。ハングルは 1446 年に生まれた、非常に新しい文字です。韓国語と朝鮮語は、どちらももともとは同じ言語ですが、発音・語彙・文法などの違いがあります。また、政治的な理由によって、韓国語は英語から導入された外来語が多く、朝鮮語はロシアから導入された外来語が多くなっています。
一般に韓国語に翻訳する場合は、韓国で使われている言葉に翻訳することがほとんどです。理由は簡単。北朝鮮とは旅行者の往来がなく、取引もほとんどないからです。しかし、韓国語も朝鮮語も文字は同じため、日本人が見てもまったく区別できません。間違った翻訳会社に頼んで北朝鮮の言葉に訳されたりしないように注意してください(異様に安い価格の翻訳会社に依頼すると、悲しい結果になってしまう場合があります)。
日本語で「こんにちは」という意味の韓国語(Batang)は、次のようになります。
中国語と違って、韓国語は慣れていないと象形文字のような感じですね。
最後に、それぞれの言語で使われているフォントについて説明します。
韓国語のデータが送られてくると、たまに文字化けして全く読めなかったりする場合があります。日本語に明朝やゴシックがあるように、韓国語や中国語もそれぞれフォントがあるので、適切なフォントを指定すればきちんと読めるようになります。
・簡体字のフォント:SimSun、SimHei
・繁体字のフォント:PMingLiu
・韓国語のフォント:Gulim、Batang
これらは代表的なフォントで、Windows に標準装備されています。
もし文字化けした文章が送られてきたら、これらのフォントに変えてみてください。きっと何かが浮かび上がってくるでしょう。
ところで今回のコラムの前半部分、ぱっと見て漢字が多いなと感じたのではないでしょうか。一般的に、文中の漢字の割合が 5 割を超えると硬い印象に、3 割以下だと軽く見られる傾向があるため、漢字の割合が 4 割前後の文章が最も読みやすいとされています。そうして考えると、中国語は全部漢字になってしまうので、ものすごく硬い印象なのかもしれませんね。