フラット

フラット

The World Is Flat(『フラット化する世界』)が出版されてから10年経ったそうで、光陰矢の如しです。
flatという言葉は、IT関連の文書でもよく出てきます。カタカナで「フラット」とすることがあるのですが、それでいいのだろうかと疑問に思ったので、「フラット」とは一体どういうことなのか、改めて考えてみました。

flatの語源を調べてみると、ギリシャ語のplatysも関係あるかもしれない、とあって、placeの親戚かもしれないそうです。そもそもは、地形が平ら、というところから出発したようです。
そこから転じて、水平、均一のような意味を持つようになって、水平や均一というところからさらに転じて、単調、活気がない、のような意味まで持つようになったようで、フラットなような、フラットでないような経歴です。

変わらない、という意味でflatという言葉が出てくるのは、折れ線グラフが水平になるイメージです。フラットファイルやフラットネットワークという言葉は、構造が平ら/単調→複雑でない/階層化されていないという感じでしょうか。
話がややこしくなるのは、見た目とそこから受ける印象が、英語ではflatの1語ですが、日本語では2語以上に分かれてしまうところです。flat file/flat networkなどは、まあ用語だし、しっくりくるように1語で訳すのも難しいし、ということで「フラット」になっているようです。なるほどなーと思いました。

『フラット化する世界』のflatは「均一」に近い意味ではないかと思います。インターネットを通じて仕事のやりとりができるようになると、住む場所や個人の背景の影響が薄くなっていくだろう、というような話でした。ただ、均一に向かって世の中が激しく動いている、というような書き方をしていたので、読んだ人の受ける印象はflatとは随分違って、世の中大変なんだなあ、というものだったのではないでしょうか。
私は原書を読んだのですが、そのときは、平らな世界かー、と思って、象とか亀とかのことを考えながら読んでいたことを思い出しました。......本当にちゃんと読んだのか不安になってきました。

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