consumer gradeとenterprise grade

consumer gradeとenterprise grade

IT関連の文書では、consumer gradeやenterprise gradeという表現がよく出てきます。どういう意味かというのを端的に述べるのは難しいのですが、それはこの場合にかぎらず、はっきりとした共通認識がないまま言葉だけが広まっていくことが多いからです。
consumer gradeとenterprise gradeについては、直訳してやればだいたいの意味はつかめます。コンシューマー級、消費者向け製品級、あるいは、エンタープライズ級、企業向け製品級のように考えていただければよいのではないかと思います。
問題はその先で、じゃあどういうつもりで、どういうニュアンスがあってconsumerとかenterpriseとかいっているのか、という点なのですが、これは文脈によるようです。

たとえば、SSDの品質について述べている以下の文書では、
http://frankdenneman.nl/2014/03/10/consumer-grade-ssd-versus-enterprise-grade-ssd-one-pick/
consumer grade SSDよりもenterprise grade SSDの方が品質が高い、という区分で使われています。

一方で、ユーザーエクスペリエンスについて述べている以下の文書では、
http://www.zdnet.com/article/adp-rolls-out-consumer-grade-ux/
consumer grade UXを言い換える表現として、a best-in-class experienceが使われています。すごくいい、という意味でconsumerといっているわけです。

従来は上の用法、consumerよりenterpriseがいい、というのが一般的な使われ方だったと思いますが、いわゆるコンシューマライゼーションの到来と、エンタープライズ(企業)向けのソフトウェアやサービスの品質に対する不満の高まりから、場合によってはconsumerがenterpriseよりいい、という意味で使われることが出てきたようです。


いくつか考えてみると、スマートフォンやタブレットの性能は、モノはいっしょでもイメージ的にconsumerといった方がよさそうに聞こえます。ストレージやネットワークの機器の性能は問題なくenterpriseの方がいいですね。ソフトウェアの機能が多い、という意味ではenterpriseですが、管理画面やダッシュボードの使いやすさをアピールするならconsumerといっておくべきでしょう。
時間や場所、人の立場などによって、逆をイメージしてしまうことがあるのかもしれないという気がします。あまり難しいことではないような気がしますが、うっかり勘違いしないか心配です。

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