翻訳版が出るまでのタイムラグ

翻訳版が出るまでのタイムラグ

村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の英語版が出版され、海外でも人気だそうです。
http://www.japantimes.co.jp/news/2014/08/12/national/english-translation-murakamis-latest-novel-hits-u-s-bookstores/#.U_PwW2ccTyo

日本では2013年の4月に出版されたので、1年4か月遅れて英語版が出版されたことになります。
海外にいる村上さんのファンにとっては、このタイムラグは長いと感じるのかもしれません。


今回は、翻訳版が出るまでのタイムラグについて考えてみました。


原書がでてから翻訳本が出るまで、どのくらいかかるかご存知ですか?
本の分野、ボリューム、人気の度合いによっても変わりますが、平均して1年前後かかるそうです。

けっこう長くかかるんですね。

弊社では、主にソフトウェアのマニュアルなどを翻訳していますが、「ASAP!(とにかく急ぎで)」とお客様にお願いされることがしばしばあります。
私の感覚では、テクノロジーの分野で1年のタイムラグは長すぎます。
英語圏と1年の差があると、ビジネスではけっこう不利になるのではないでしょうか。


学生の頃、分子生物学を専攻していましたが、技術の進歩が著しい分野だったので、教科書は英語版を使用していました。
分厚い本だったので、「翻訳版が出るまでに3年かかるから、そんな古い知識は教えられない」と先生が言っていたのを覚えています。
そのころは、試験前に英語と格闘しなければならなかったので不満タラタラでしたが、今ならその理由に納得です。


また、タイムラグを理由に原書で本を読む人が増えてくると、私たちの翻訳の仕事はなくなってしまうんじゃないか、という心配もあります。

そんなわけで、お客様の「ASAP!」のリクエストにも、できるだけおこたえしていきたいと思います。

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