untranslatable words

untranslatable words

他の言語に翻訳しづらい単語を「untranslatable words」などと言って、ネット上で紹介されているページをよく見かけます。それらの単語は、ソース言語の単語が表す概念が独自の文化的背景から形成されたもので、ターゲット言語に同じ概念が存在しない、というケースが多いようです。


例えば、だいぶ前の記事ですが、BBC が言語学者約 1,000 人を対象に行った調査の結果では、コンゴで使われているルバ語(チルバ語、キルバ語とも)の ilunga という単語が 「最も翻訳が難しい単語」 に選ばれたそうです(この単語の意味は「一度目はどんな悪口でも許し、二度目には我慢し、三度目は決して許さない人物」だそうです)。
これはこれで興味深く、このような複雑な文化的背景を持ってそうな単語を知ると発見や驚きがありますが、「翻訳が困難」とか「翻訳不可能」という言い方には少し違和感も感じます。

対応する単語がターゲット言語に存在しない単語は、翻訳の実務上は、カタカナ語を使用したり、説明的に訳したり、訳注を付けたりするなど、翻訳の長い歴史の中で培われてきた何かしらの方法で対応することになると思います。ilunga にしても、上記の意味が分かっているという前提だと、翻訳作業上の難易度という点では initiative や engagement とあまり変わらないのでは、という気もします(文化的背景も含めたニュアンスまで掴むのはたいへんだと思いますが)。

なので、このようないわゆる「untranslatable words」は、「翻訳不可能/困難な単語」ではなく「独自の概念を持つ単語」のような表現のほうがいいのでは、と思いそうになりましたが、「untranslatable words」として取り上げられている単語を色々読んでみると、必ずしも「ピッタリの概念が他の言語に存在しない」単語ばかりではなさそうです。例えば、Schadenfreude (ドイツ語) のように「概念自体は他の言語にも存在するが、他の言語では単語を割り当てていない」というパターンがありそうです(勝手に決めたパターンですので権威ある分類方法と違っていてもご容赦下さい_(..)_)。

以下、Wikipedia の「シャーデンフロイデ」より引用
シャーデンフロイデ(独: Schadenfreude)とは、他者の不幸、悲しみ、苦しみ、失敗を見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情。ドイツ語で「欠損のある喜び」「恥知らずの喜び」の意味である。日本語で言う「様を見ろ」の感情であり、日本でのシャーデンフロイデの類義語としては「隣(他人)の不幸は鴨(蜜)の味」、同義の「メシウマ((他人の不幸で)飯が美味い)」という俗語が近い物として挙げられる。

このように、同じ状況に対して単語を割り当てたり割り当てなかったりという違いや、カエルが池に飛び込むのを見てある国の人が「風流」という感情を抱いたり別の国の人は何も感じなかったり、といった違いがあるので、その原因や具体例をもっと調べてみると面白そうです。

以下に、「untranslatable words」を紹介しているサイトをいくつか挙げておきます。

11 Untranslatable Words From Other Cultures

20 awesomely untranslatable words from around the world

Untranslatable Emotions in Languages Other Than English

15 FANTASTIC UNTRANSLATABLE WORDS

The Untranslatable Words Database

10 Untranslatable Words (And When You'll Want to Use Them)

Ten Most Difficult Words to Translate

9 Foreign Words the English Language Desperately Needs

15 Wonderful Words With No English Equivalent

European Untranslatable Words

How many words are there for 'camel' in Arabic?

There really are 50 Eskimo words for 'snow'

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