アメリカの昔の新聞を読む 『Chronicling America』
以前の記事で少しだけ触れましたが、『Chronicling America』というサイトではアメリカの昔の新聞を読むことができます。
現時点で、1836 年~1922 年の新聞 1000 紙以上、総ページ数 600 万以上が対象となっています。トップ画面からの検索では、州、年、キーワードを指定できるだけですが、[Advance Search] では日付や新聞の種類の指定、フレーズ検索なども利用できます。
具体的な日付が分かっていれば、「リンカーン大統領暗殺」「ジェロニモ降伏」「ライト兄弟初飛行」など、歴史的な出来事の記事も比較的簡単に見つけることができます。
実際に見ると分かりますが、キーワードで検索した場合は検索ワードがハイライト表示されます。また、記事の上部にはツールバーのような機能もあり、拡大縮小、新聞内のページ移動、テキスト/PDFファイルでの表示などもできるようになっています。
ちなみに上記ライト兄弟の記事では、同じページに日本に関する記事もあります。タイトルが『Mikado Will Send an Army Into Korea』で、ロシアとの交渉が云々という内容です。1903 年 12 月なので、まさに日露戦争開戦前夜という状況です。左上には 3 人の日本人の写真があり、SENIOR FIELD MARSHAL YAMAGATA、FIELD MARSHAL OYAMA、COUNT INOUYE とあるので、それぞれ山縣有朋、大山巌、井上馨のようです。
さらに [Recommended Topics] のページでは、おすすめ記事としてまとめられた内容を、アルファベット順、カテゴリー別、日付順で表示できます。
現時点で、1836 年~1922 年の新聞 1000 紙以上、総ページ数 600 万以上が対象となっています。トップ画面からの検索では、州、年、キーワードを指定できるだけですが、[Advance Search] では日付や新聞の種類の指定、フレーズ検索なども利用できます。
具体的な日付が分かっていれば、「リンカーン大統領暗殺」「ジェロニモ降伏」「ライト兄弟初飛行」など、歴史的な出来事の記事も比較的簡単に見つけることができます。
実際に見ると分かりますが、キーワードで検索した場合は検索ワードがハイライト表示されます。また、記事の上部にはツールバーのような機能もあり、拡大縮小、新聞内のページ移動、テキスト/PDFファイルでの表示などもできるようになっています。
ちなみに上記ライト兄弟の記事では、同じページに日本に関する記事もあります。タイトルが『Mikado Will Send an Army Into Korea』で、ロシアとの交渉が云々という内容です。1903 年 12 月なので、まさに日露戦争開戦前夜という状況です。左上には 3 人の日本人の写真があり、SENIOR FIELD MARSHAL YAMAGATA、FIELD MARSHAL OYAMA、COUNT INOUYE とあるので、それぞれ山縣有朋、大山巌、井上馨のようです。
少し検索してみるだけでも気になる記事がたくさん出てきますが、今回は翻訳に関係する記事をいくつか探してみました。
TROUBLES OF TRANSLATORS.
The difficulty of avoiding "howlers" when one is translating from English into such a language as that of the Micmac Indians of Nova Scotia must be very great. We hear from the Bible Society of a curious case. In the first edition of St. Matthew. in Micmac, the translator found, when he came to revise it, that in Chapter xxiv, 7, instead of "Nation shall rise against nation." he had written "A pair of snowshoes shall rise up against a pair of snowshoes." And yet there was only one letter misprinted-naooktukumiksijik (a nation) having been displaced by naooktakumiksijik (a snowshoe). (以下略)
(大雑把な要約)
英語からミクマク語などに翻訳する場合は過ちを犯しがち。
聖書の翻訳で、ミクマク語(※)で naooktukumiksijik (=nation) とすべきところを、1 文字だけミスプリントで naooktakumiksiiik (=snowshoe) としてしまって全然違う意味になった、という話。
似たような話は現在もありそうですが、この長い単語の 1 文字違いで nation が snowshoe になるミクマク語の単語構造の方が気になりました。
Translating Service.
Translator aid (group), $1,320, 3 at $60. $1,500.
Junior translator (group), $1,560, 4 at $60, $1,800.
Senior translator (group), $1,860, 4 at $120, $2,340.
Principal translator (group), $2,400, 3 at $120, $2,760.
Junior research translator (group), $1,560. 4 at $60. $1,800.
Senior research translator (group), $1,860. 4 at $120, $2,340.
Principal research translator (group), $2,400, 3 at $120, $2,760.
Junior translator、Senior translator などの役職ごとに数字が並んでいます。translator 以外の職業についても似たような表が並んでいますが、何の記事かというのをたどっていくと 13 ページから始まっています。タイトルが『Here Is Complete Schedule of Salary Recommendations Made To Congress』。「議会に提出された職業別推奨給与リスト」のようなものでしょうか(当時のアメリカの制度に詳しくないので誤解している可能性もあります。正確なことが分かる方はご教示いただけると助かります)。役職の後にカンマ区切りで数字が並んでいますが、これが何を表わしているのかという説明があり、
The first amount in each class represents the minimum for the respective grades.The second shows the number of periodic efficiency increases and the amount,the third represents the maximum salary.
だそうです(1番目:最低給与、2番目:昇給率のようなもの? 、3番目:最高給与)。
例えば、Translator aid だと、$1,320 から始まって、$60の昇給が 3 回あって、最終的に $1,500 になり、その後は Junior translator に昇進、ということでしょうか。
役職ごとの仕事内容や昇進するまでの期間、research が付く/付かないでどう違うのか、なども気になるところです。
当時の物価水準がよく分からないのでこの数字がどうなのかという点は判断しづらいですが、他の職業の数字と比べてみると面白そうです。
Translator Who Staggered.
A Frenchman was engaged in translating an American novel and came to a description of a man "hitching his horse to a locust , " This staggered the translator as he had never heard of the locust tree ;but he was equal to the emergency and in explanation stated that "sauterelles" or grasshoppers grew to an immense size in the United States.
(大雑把な要約)
フランス人が英語の小説を翻訳していて「locust に馬をつなぐ」という文に出会った。locust tree という木があるが(ここではその木の意味)、locust 単独だと「バッタ」の意味。この訳者は locust tree という木を知らなかったので「locust(バッタ)に馬をつなぐ」の意味が分からず困ったが、「アメリカではバッタは成長すると巨大になるよ」と説明して切り抜けた、という話。
今ではインターネットのおかげもありこのようなケースは少なくなっているかもしれませんが、無知ゆえの誤訳は誰にでも可能性があると自分に言い聞かせて、気を引き締めたいと思います。
以上、昔の新聞から翻訳にまつわる記事を 3 つご紹介しました。
キーワード「translator」で検索するだけで 20 万件近くヒットするので、面白い記事を見つけたら今後も取り上げていこうと思います(むしろこのサイトから記事を紹介するためだけの新しいブログを作れそうな気がしてきました)。