書籍紹介「海の祭礼」:幕末のオランダ通詞と"日本初のネイティブ英語教師"の話

書籍紹介「海の祭礼」:幕末のオランダ通詞と

江戸時代のいわゆる鎖国体制下では、朝鮮、琉球、アイヌを除けば、外国との貿易はオランダと中国に限られていました。その際に通訳業務などを行っていたのが、オランダ通詞、唐通事と呼ばれる人たちです。

この「海の祭礼」は、捕鯨船からボートで単身利尻島に上陸したアメリカ人ラナルド・マクドナルドと、オランダ通詞森山栄之助を中心に、ペリー来航前後の日本を描いた小説です。

今では英語学習用の教材は巷にあふれていますが、当時は英語に関する知識を持った人もほとんどなく、アメリカとの交渉もオランダ語を介して行っていました(ということもこの本を読んで知りました)。また、通詞が単に通訳や翻訳の業務だけでなく、外交官的な役割も担っていた当時の様子もよく分かります。

なお、オランダ通詞」と唐通事」は異なる漢字を使っています。これは、

オランダ貿易において通訳や翻訳を主な仕事としていた阿蘭陀通詞が「詞(ことば)」に通じたのに対し、唐通事は「事(こと)」全般に通じる......つまり、通訳はもちろん、長崎に在住する中国人たちの管理、貿易許可証である「信牌(しんぱい)」の発行など、唐貿易全体の業務を仕事とした。

 という背景があるそうです(長崎市の公式Webマガジン「ナガジン」より)。

 森山やマクドナルド、通詞関連では以下のような書籍も出ているようですので、こちらもこれから読んでいきたいと思います。

 

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