「~は‥が必要です」のしくみ

「~は‥が必要です」のしくみ

最近、「~は‥が必要です」という文を見かける機会が多い気がします。

例文をいくつか考えてみます。
「職場のPCは、Windows OS、Microsoft Office、Trados Studio、メーラーが必要です」
「おれは、君が必要なんだ」
「うちの会社は、TOEIC 800点が必要だよ」
「カレーは人参が必要です」

いずれも、口に出してみるとそこまで不自然ではないのですが、文字で見ると少し変な感じがします。「は」は、「が」との使い分けがよく議論されていることからもわかるように、文法上「が」と同じ場所で使うことができますが、上記の例は「が」では置き換えられません。

これはなんだろう?としばらく考えてみたのですが、どうやら「には」「では」が省略されているようです。1、2、4つめの例は、いずれも「は」を「には」にするとしっくりきます。3つめは「では」ですね(4つめの場合、文脈を踏まえて「を作るには」でも良さそうです)。いずれも、会話の応酬の一部ならまた別の話ですが、少なくとも産業翻訳においてはあまり頻繁に使う表現ではないかな、と思います。

なお、こんな口語体書かないよ~と思っていても、"A requires B, C, and D." のような文を最初から訳していくと、結果的に同じ型に陥りやすいので注意が必要です。「主語+は」の見慣れた型なのでぱっと見は自然なことも、見落とされることが多い理由の1つのようです。特に長文を翻訳した場合などは、訳文を入力し終えてから一度ざっと読むことをおすすめします。

それにしても、普段喋っている言葉がたくさんの要素を省略したものであることに改めて気付かされました。口語と文語は別次元で考え、綺麗な‥まではいかずとも、せめておかしくない文を書き続けたいです。

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