prescriptivismとdescriptivism

prescriptivismとdescriptivism

プレスクリプティ......早口言葉のようですが、それぞれ「規範主義」や「記述主義」などと訳されるようです。言葉の使い方について保守的であり、規範に従うべきであるとする立場がprescriptivismで、言葉の使い方についてリベラルであり、正しいとか間違っているとか言えるものではないとする立場がdescriptivismだというような違いがあります。日本人にとっては、prescriptionは「処方箋」、descriptionは「記述」として知られているのではないでしょうか。それと同じような感じだと思います。
これらの概念は、英語にかぎって使われるものでもないのだと思いますが、アメリカ英語について述べている文章で存在を知りましたし、Webで検索するとやはりアメリカ英語関連のサイトがヒットすることが多いようです。そういったわけで、どうやらアメリカの人はこの問題に関心が強いようです。先ほど「保守」と「リベラル」という説明を用いたのもそのためです。
そもそも辞書は性質的にdescriptivismに傾くはずであるから、prescriptivismの手引きが欲しいのであればusage guideと呼ばれる類の本を参照すべきだ、とも言われるようですが、新しい辞書が出るたびに、どの程度descriptivism寄りであるかということを確認せずにはいられない人もいるようで、かつて特にやり玉に挙げられることが多かったのがirregardlessという単語だそうです。
しかし今となっては大体の辞書にはirregardlessが載っているようです。コンピュータで検索できることが増える一方の世の中では、prescriptivismは劣勢にならざるを得ないのではないでしょうか。翻訳に関しては、ときにはdescriptivistのような広い心で原文を読んで、しかし基本的にはprescriptivistのように、あまりくだけていない訳文を書かないといけないようですから、二重人格のような態度が要求されるわけで、精神衛生的にはあまりよろしくないのかもしれません。

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