訳文を良くするヒント:唐突に出てきた感じがする用語は、きっとそれとは違う日本語だ

訳文を良くするヒント:唐突に出てきた感じがする用語は、きっとそれとは違う日本語だ

スターバックスがベトナムに進出したそうです。ベトナムではストロングなロブスタ種が飲まれているので、スターバックスもエスプレッソを調節して苦みを強くしたり、ベトナムコーヒーにならって甘さを加えたり、ベトナム店特有のメニューを用意して挑むのだとか。これもlocalizationですよね。コーヒーに加えてスイーツのメニューも気になるfukazawaです。

ところで、翻訳されたマニュアルを読んだり、自分や他人が翻訳したものを読みかえしているとき、「それってどこかに出てた?」という用語に出会うことはないですか。

これは、簡単で、この単語はこの訳と自分の中で決まっているものほど注意が必要です。たとえば、Tierの訳と言われて最初に何が思いつくでしょうか。「層」「階層」が思いつく人も多いと思います。でも翻訳するときはちょっと待ってください。Tierを自動的に「層」「階層」と訳してしまうと、文脈上、なにやら急に出てきた感じになることがあります。

訳文だけで読んだときに、説明なしに突然新しい用語が出てきたという印象を受ける場合は、引っかかる部分の訳語を変えるとうまく収まることがあります。

Tierは「層」「階層」の他に、たとえば「tier one companies」なら「一流企業」、「first-tier」の場合は「最上位の」と訳すことができます。技術的な要素のない文書に「Tier 1 application」と出てきた場合は、「階層1のアプリケーション」と訳さないといけない場合もあるかもしれませんが、おそらく「重要なアプリケーション」や「ミッションクリティカルなアプリケーション」などが候補になるでしょう。

読み手が立ち止まったり後戻りしたりすることなく、すんなり読み進められる文章を目指したいですね。


<まとめ>

・訳文を読んで唐突な感じがする用語は、他の訳語にできないかを検討しましょう。

・Tier 1の訳語には、「階層1」の他に「一流の」、「重要な」、「ミッションクリティカルな」などが考えられます。

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